ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)

「その女アレックス」や「147ヘルツの警鐘」の方がグロい描写で溢れてるのに、
「オーダーメイド殺人クラブ」でもあったような、一見すると仲良さげで深入りはし過ぎないぬるま湯のような繋がりだけど
その実、些末な事ですぐ排他的になる暗黙の了解や欺瞞で雁字搦めな
閉鎖的な人間関係の描写の方がよっぽど精神が磨り減った。
ただそれは単なる嫌悪感や身に覚えがあるからじゃなく、そこにさえ辿り着けない疎外感や羨望が原因なんだけど。
ただ真相が明かされてからは物語の表情が変わり、語り手が変わる第2章はストレス無く読めた。
もちろんこっちで書かれてる関係性の方こそ、ぬるま湯で閉鎖的で行き詰まりへの悪あがきや誤魔化しでしかない。
けれでもそんな終末的なシチュエーションこそがフィクションの醍醐味だし、何より自分好み。
タイトルの意味は途中で分かるけどそれも前振りで、更に一歩踏み込み真意に気づかされるラストが印象的だった。