千年帝国がこの先生きのこるには

eureka

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空気公団の「夜はそのまなざしの先に流れる」を聴いて
これ以上夜に相応しいアルバムはしばらく出ないだろうと思っていたが、それは間違いだった。


前作「渦になる」での寂寥感溢れた世界観はそのままに
より深化し剥き出しになった歌詞に、より進化したギターロック・シューゲイザーサウンド
背徳的な悦びにも似た心地よさをもたらしてくれる。



「夜鷹」の繰り返し語りかける切実な思い、
騒やかに駆け抜けていく「国道スロープ」、
明るいコーラスが逆に虚無感を誘う「風化する教室」、
そして、「ミュージシャン」から「明日にはすべてが終わるとして」の救いは無くても希望に満ちた終焉。
全ての楽曲で狂気と正気が
狂気を抑えきれず理解不能にならぬよう
正気を保ち過ぎて凡庸にまとまらないよう
互いに弾き合い寄り添い合っている。



本能だけでは到達し得ない、計算だけでも作り得ない
そんな領域を『見つけた』、いや、『見つけてしまった』。